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不動産投資の築古物件に潜むリスク|融資・修繕・出口の3つの落とし穴

不動産投資の実践

不動産投資の物件検索サイトで利回りの高い順に並べ替えると、上位に並ぶのはたいてい築古物件です。価格が安く、表面利回りは10パーセントを超えるものも珍しくありません。数字だけを見れば、これほど魅力的に見えるものはないでしょう。

ただし、その利回りの高さは、市場が織り込んだリスクの裏返しでもあります。築古物件で成果を出している投資家は、そのリスクを理解したうえで、対処できる範囲だけを取りにいっています。この記事では、築古物件に潜むリスクを、融資・修繕・出口という三つの軸で整理します。

ナビ助
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築古はダメって話じゃないよ。「なんでこの利回りなのか」を説明できるかどうかが分かれ目なんだ。

リスク1:融資が付きにくい

法定耐用年数が融資期間の目安になる

金融機関の多くは、建物の法定耐用年数を融資期間の判断材料にしています。法定耐用年数は税法上、減価償却費を計算するために定められた年数で、住宅用の場合は木造が22年、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造が47年、れんが造や石造・ブロック造が38年とされています。金属造は骨格材の肉厚によって年数が分かれます。詳細は国税庁の耐用年数の一覧で確認できます。

実務では「法定耐用年数-経過年数」がおおよその融資期間になると言われています。築15年の木造アパートなら、22年から15年を引いて残り7年。この期間で返済することを求められると、月々の返済負担は一気に重くなります。

返済期間が短いとキャッシュフローが出ない

同じ借入額でも、返済期間が20年なのか7年なのかで、毎月の返済額はまったく違います。表面利回りが高くても、返済期間が短ければ手元にお金は残りません。

築古物件を検討するときは、表面利回りではなく、想定される融資条件を織り込んだ実質的な手残りで判断してください。金融機関に事前相談をして、その物件でどの程度の期間が出せそうかを確認してから買付を入れるのが安全な順番です。

返済期間ごとの返済額は、関数電卓が手元にあればその場で比べやすくなります。

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担保評価がゼロになることもある

法定耐用年数を超過した建物は、金融機関によっては担保としての建物評価を出さないことがあります。この場合、土地の評価だけで融資額が決まるため、土地値の低いエリアでは融資そのものが難しくなります。

逆に言えば、土地値の高いエリアの築古物件は、建物の評価が出なくても土地の担保力でカバーできる場合があります。築古で融資を組めている事例の多くは、この構造を利用しています。

ポイント

築古物件を探すときは「物件を探してから金融機関を探す」のではなく、「築古に対応する金融機関の条件を先に把握してから物件を探す」順番にすると、時間の無駄が減ります。

ナビ助
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「買付入れてから融資が付かなくて白紙」って、時間も信用も減っちゃうんだよね。先に金融機関の感触を掴んでおこう。

リスク2:修繕費が読みにくい

大きな出費が集中する時期に入っている

築古物件は、建物の各部位が更新時期を迎えているケースが多くなります。特に費用が大きくなりやすいのは次の項目です。

部位 起こりやすい不具合
屋根・屋上 防水層の劣化による雨漏り
外壁 塗膜の劣化、クラック、シーリングの切れ
給排水管 腐食による漏水、詰まり
木部(木造) シロアリ被害、腐朽
設備 給湯器・エアコン・ポンプの故障

これらは購入直後に一斉に来ることもあれば、数年かけて順に来ることもあります。予測が難しいというのが、築古物件で最も扱いにくい部分です。入居者から夜間に「お湯が出ない」と連絡が入り、翌朝から業者探しに追われる。こうした対応が続くと、副業として始めたはずの投資が本業を圧迫してしまいます。

内見だけでは判断できない部分が多い

床下や天井裏、壁の中を通る配管は、内見で見ることができません。目に見える部分がきれいでも、見えない部分が傷んでいる可能性は残ります。

購入前にできる対策としては、ホームインスペクション(住宅診断)の依頼、シロアリ業者による床下点検、修繕履歴の確認などがあります。売主が過去の工事の記録を持っていれば、いつ何を直したのかが分かり、次に何が来るかを推測しやすくなります。

現地に行くときは、床下点検口や天井裏を覗くための明るいLEDハンディライトと、部屋や設備の寸法を測るレーザー距離計(ボッシュのZAMOシリーズなど)を持参すると、判断材料が増えます。汚れる場所に入ることもあるので、使い捨ての作業用手袋と、膝をつくためのレジャーシートを車に積んでおくと現地で困りません。

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修繕費の見込みを価格に織り込む

購入前に、想定される修繕項目を洗い出し、それぞれの概算を業者に確認しておきましょう。合計額を物件価格に上乗せしたうえで、それでも成り立つ利回りかどうかを検証します。

「買ってから考える」で進めると、想定外の出費で資金が尽き、必要な修繕ができないまま入居者が退去していくという悪循環に入りかねません。

注意

築古物件では、火災保険の引受条件が厳しくなったり、水災や破損の補償に制限が付いたりすることがあります。契約前に保険代理店に相談し、加入できる内容を確認してください。保険が薄いまま持つのは危険です。

ナビ助
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出口を決めずに入口だけ見るのは危ないよ。「誰に、いくらで、どうやって売るか」を買う前に一度書き出してみて。

リスク3:出口で買い手が限られる

次の買主も同じ融資の壁にぶつかる

自分が融資に苦労した物件は、売るときにも同じ問題が起こります。買主候補が現金購入者や一部の投資家に絞られるため、売却までの期間が長くなり、価格も買い叩かれやすくなります。

保有中のキャッシュフローだけを見て「利回り12パーセント」と喜んでいると、売却時に想定を大きく下回る価格でしか売れず、通算では期待した結果にならないことがあります。保有期間の収支と売却時の手取りを合わせた通算で考える視点が欠かせません。

旧耐震の場合はさらに絞られる

建築確認が1981年5月31日までに下りている旧耐震基準の建物は、取り扱わない金融機関がさらに増えます。耐震診断や耐震改修の履歴があれば説明材料になりますが、記録がない場合は買主の判断材料が乏しくなります。耐震診断の考え方については一般財団法人 日本建築防災協会が情報を公開しています。

更地にする選択肢とその費用

建物の価値がほぼなくなっている場合、解体して土地として売るという選択肢もあります。ただし解体費は構造と規模によって大きく変わり、木造でも数百万円単位になることがあります。また、更地にすると土地の固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が増える点にも注意が必要です。

ナビ助
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ここからは税金の話。ちょっと地味だけど、築古を買うなら絶対に知っておいてほしいところだよ。

税務面で知っておきたい「デッドクロス」

減価償却は短期間に集中する

中古物件の耐用年数は簡便法で計算され、法定耐用年数を超過している場合は法定耐用年数の20パーセント(端数切捨て、最短2年)とされます。一部が経過している場合は「法定耐用年数-経過年数+経過年数×20パーセント」で求めます。減価償却の基本的な考え方は国税庁 No.2100 減価償却のあらましで確認できます。

短い年数で償却するということは、毎年の減価償却費が大きくなるということです。所得を圧縮できるため、この点は築古物件のメリットとして語られます。

償却が終わった後に負担が来る

問題はその後です。減価償却が終わると経費が一気に減り、帳簿上の利益が膨らんで税負担が増えます。一方でローンの元本返済は続くため、手元の現金は減っているのに納税額は増えるという状態になります。これがデッドクロスと呼ばれる現象です。

築古物件は償却期間が短いぶん、このタイミングが早く訪れます。購入前に、償却が終わる年を計算し、その後の収支がどうなるかまでシミュレーションしておいてください。

それでも築古を選ぶなら

土地値を重視する

建物の評価が期待できないぶん、土地の価値が支えになります。路線価や近隣の取引事例を調べ、最悪の場合でも土地値で回収できる水準かどうかを確認しておくと、判断に芯が通ります。

自分で直せる範囲を広げる

クロスの張り替えや簡単な塗装、水栓の交換などを自分で行うことで、修繕費を抑えている投資家もいます。すべてを自分でやる必要はありませんが、費用の相場感を持つためにも、一度手を動かしてみる価値はあります。

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情報を体系的に仕入れる

築古投資は、判断すべき論点が多いぶん、知識の差がそのまま結果に出やすい分野です。石原博光氏の『まずはアパート一棟、買いなさい!』のような実務寄りの入門書には、地方の築古物件を扱う際の考え方が具体的に書かれており、最初の一冊として役立ちます。物件ごとの資料や見積書は、A4サイズのファイルボックスで案件別にまとめておくと、比較検討のときに混乱しません。

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ナビ助
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最後に、築古を検討してる人からよく出る質問をまとめておくね。

よくある質問

Q. 築何年から「築古」と呼ばれますか

A. 不動産投資の世界で明確な定義があるわけではありません。木造であれば法定耐用年数の22年、鉄筋コンクリート造であれば47年を超えたあたりを一つの区切りとする見方があります。構造によって基準が変わるため、年数だけでなく構造とセットで考えてください。

Q. 築古でも融資してくれる金融機関はありますか

A. 耐用年数を超過した物件を扱う金融機関も存在します。ただし、金利や自己資金の比率、対応エリアなどの条件は金融機関ごとに異なり、方針も変わります。最新の条件は各金融機関に直接確認してください。

Q. リフォーム費用はどのくらい見ておけばよいですか

A. 物件の状態と、どこまで手を入れるかによって大きく変わります。表層のリフォームだけで済む物件と、配管から直す必要がある物件では桁が変わることもあります。契約前に業者に現地を見てもらい、概算をもらってから判断するのが確実です。

Q. 築古のほうが利回りが高いのはなぜですか

A. 融資の付きにくさ、修繕費の不確実性、出口の難しさといったリスクが価格に反映されているためです。利回りの高さは、それらのリスクを引き受ける対価と考えるのが自然です。

Q. 区分マンションの築古はどうですか

A. 一棟物件と違い、建物の維持は管理組合が担います。そのため、修繕積立金の残高と長期修繕計画の内容が判断の中心になります。積立不足の物件では、購入後に値上げや一時金の徴収が発生する可能性があります。

Q. 築古を買うのに向いている人はどんな人ですか

A. 修繕の判断ができる、あるいは信頼できる業者とのつながりがある方、現金または短期の返済に耐えられる資金力がある方、そして土地値を自分で調べて判断できる方です。逆に、これらが未整備の段階で高利回りだけを理由に飛びつくのは、避けたほうがよい選択です。

Q. 築古物件は個人と法人のどちらで買うべきですか

A. 減価償却が短期間に集中するため、所得の状況によって有利不利が変わります。給与所得が高い方は個人で損益通算を活用する考え方もありますし、規模を拡大していく前提なら法人で管理するほうが整理しやすい面もあります。税制は改正されるため、購入前に税理士へ相談したうえで決めてください。

Q. 遠方の築古物件を買っても管理できますか

A. 現地に信頼できる管理会社と修繕業者を確保できるかどうかが分かれ目です。築古は突発的な修繕が多いため、都度自分で業者を探していると対応が遅れ、入居者の不満につながります。物件を決める前に、そのエリアで動いてくれる会社を見つけておくことをおすすめします。

まとめ

築古物件は、リスクを理解して対処できる人にとっては選択肢になり、理解せずに買った人にとっては重荷になります。分かれ目は物件そのものではなく、準備の差です。

ポイント

・法定耐用年数の残りが融資期間の目安になり、返済負担に直結する
・耐用年数超過の建物は担保評価が出ないことがある
・屋根・外壁・給排水管・シロアリが大きな修繕費の発生源
・出口では買主も同じ融資の壁にぶつかる
・減価償却が終わった後のデッドクロスを事前に計算しておく
・土地値で下支えできるかを必ず確認する

気になる築古物件が見つかったら、価格と利回りを見る前に、構造と築年数から融資期間を逆算してみてください。そこで数字が合わなければ、その物件は縁がなかったということです。

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