「アパート経営を始めたいけれど、初期費用はどのくらい必要なのだろう?」と不安に感じている方は少なくないでしょう。
アパート経営は不動産投資のなかでも人気のある投資方法ですが、初期費用やランニングコストの全体像を把握しないまま始めると、資金計画が狂って経営に行き詰まるリスクがあります。
この記事では、アパート経営にかかる初期費用の内訳から、毎月のランニングコスト、自己資金の目安まで、初心者にもわかるように具体的な数字を交えて解説します。
アパート経営の初期費用の全体像
アパート経営の初期費用は大きく分けて「物件取得費用」と「諸費用」の2種類に分かれます。
一般的に、初期費用の総額は物件価格の15〜30%程度を自己資金として用意する必要があるとされています。つまり、5,000万円のアパートであれば、750万〜1,500万円が目安です。
新築と中古で初期費用は異なる
新築アパートの場合は建築費が中心となり、中古アパートの場合は購入価格に加えてリフォーム費用がかかるケースがあります。
| 項目 | 新築アパート | 中古アパート |
|---|---|---|
| 物件取得の中心費用 | 土地代+建築費 | 物件購入価格 |
| 諸費用の目安 | 建築費の10〜15% | 購入価格の7〜10% |
| リフォーム費用 | 基本的に不要 | 状態によって必要 |
| 融資の受けやすさ | 比較的受けやすい | 築年数により条件が厳しくなる |

アパートの建築費・購入費の相場
アパート経営の初期費用のなかで最も大きな割合を占めるのが、建築費(新築の場合)または物件購入費(中古の場合)です。
新築アパートの建築費の目安
新築アパートの建築費は、構造によって大きく異なります。
| 構造 | 坪単価の目安 | 10戸・延床面積60坪の場合 |
|---|---|---|
| 木造 | 80〜100万円 | 4,800万〜6,000万円 |
| 軽量鉄骨造 | 90〜120万円 | 5,400万〜7,200万円 |
| 重量鉄骨造 | 100〜130万円 | 6,000万〜7,800万円 |
| RC造 | 120〜150万円 | 7,200万〜9,000万円 |
上記はあくまで目安であり、地域やハウスメーカー、設計内容によって大きく変動します。複数の業者から見積もりを取って比較することが重要です。
費用の考え方を含めてアパート経営の全体像を本で押さえておくと、見積もりの妥当性も判断しやすくなります。
中古アパートの購入費
中古アパートの価格はエリアや築年数、利回りによってさまざまですが、一棟もので2,000万〜1億円程度が一般的な価格帯です。都市部と地方では価格差が大きいため、投資目的に合ったエリアで物件を探す必要があります。
初期費用の内訳を詳しく解説
物件取得費以外にも、さまざまな諸費用がかかります。主な項目を一覧で見ていきましょう。
税金関連
| 費用項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額の3〜4% | 取得後3〜6ヶ月後に請求される |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4〜2% | 所有権移転・保存登記にかかる |
| 印紙税 | 1万〜6万円 | 売買契約書・ローン契約書に貼付 |
| 消費税 | 建物価格の10% | 土地には非課税 |
手数料・保険関連
| 費用項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税 | 不動産会社への報酬(中古の場合) |
| 司法書士報酬 | 10万〜15万円 | 登記手続きの代行費用 |
| ローン事務手数料 | 借入額の1〜3% | 金融機関によって異なる |
| ローン保証料 | 借入額の1〜2% | 保証会社への支払い |
| 火災保険料 | 10万〜30万円(5年分) | 構造や補償内容で変動 |
| 地震保険料 | 5万〜15万円(5年分) | 地域やリスクで変動 |
仲介手数料やローン事務手数料は金額が大きいため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
アットホームでも、アパート経営の初期費用の内訳と相場が詳しく紹介されています。
具体的な初期費用のシミュレーション
より具体的なイメージを持つために、2つのケースでシミュレーションしてみましょう。
ケース1:新築木造アパート(土地あり)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 建築費(木造・6戸・延床40坪) | 3,600万円 |
| 不動産取得税 | 約40万円 |
| 登録免許税 | 約15万円 |
| 司法書士報酬 | 約12万円 |
| ローン事務手数料・保証料 | 約70万円 |
| 火災保険・地震保険 | 約25万円 |
| 印紙税 | 約3万円 |
| 合計 | 約3,765万円 |
自己資金の目安:建築費の20% = 約720万円+諸費用165万円 = 約885万円
ケース2:中古アパート(築15年・一棟買い)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件購入価格 | 4,500万円 |
| 仲介手数料 | 約151万円 |
| 不動産取得税 | 約60万円 |
| 登録免許税 | 約45万円 |
| 司法書士報酬 | 約12万円 |
| ローン事務手数料・保証料 | 約90万円 |
| 火災保険・地震保険 | 約20万円 |
| リフォーム費用(一部修繕) | 約200万円 |
| 印紙税 | 約3万円 |
| 合計 | 約5,081万円 |
自己資金の目安:物件価格の20% = 約900万円+諸費用581万円 = 約1,481万円
購入時の諸費用は確定申告でも確認することになるため、領収書や契約書をまとめて保管しておくと後で見返しやすくなります。

毎月のランニングコストの内訳
アパート経営は初期費用だけでなく、毎月のランニングコストも把握しておく必要があります。ランニングコストの目安は家賃収入の15〜20%と言われています。
主なランニングコスト一覧
| 費用項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| ローン返済 | 家賃収入の40〜50% | 元金+利息の返済 |
| 管理委託手数料 | 家賃収入の3〜5% | 管理会社への報酬 |
| 修繕積立金 | 家賃収入の5〜10% | 将来の大規模修繕に備える |
| 共用部の光熱水費 | 月1万〜3万円 | 廊下や外灯の電気代など |
| 固定資産税・都市計画税 | 年間数十万円 | 毎年4期に分けて納付 |
| 入居者募集費用 | 家賃の1〜2ヶ月分/回 | 広告費・仲介手数料 |
| 退去時の原状回復費 | 1戸あたり5万〜20万円 | 退去のたびに発生 |
ランニングコストのシミュレーション
月額家賃収入が40万円(6戸×平均6.7万円)のアパートを想定した場合の月間ランニングコストです。
- ローン返済:18万円
- 管理委託手数料:2万円
- 修繕積立:2万円
- 共用部光熱水費:1.5万円
- 固定資産税(月割り):2.5万円
- その他雑費:1万円
- 合計:約27万円
手取り収入は40万円 − 27万円 = 約13万円/月となります。
ここから空室が発生すると家賃収入が減る一方、ローン返済や固定費は変わらないため、手取りが大きく圧迫される点に注意が必要です。空室率を考慮したシミュレーションを必ず行いましょう。
空室が1戸、2戸と出た場合の手取りを電卓で順に計算しておくと、どこまで耐えられるかが見えやすくなります。
自己資金を抑える方法はあるのか
「自己資金が足りない」という方のために、初期費用を抑える方法をいくつか紹介します。ただし、それぞれリスクもあるため慎重な判断が求められます。
フルローン・オーバーローン
物件価格の100%(フルローン)や諸費用込み(オーバーローン)で融資を受ける方法です。自己資金をほぼゼロで始められますが、毎月の返済額が大きくなり、キャッシュフローが悪化するリスクがあるため、慎重に検討する必要があります。
金融機関を複数比較する
融資条件は金融機関によって異なります。金利だけでなく、事務手数料や保証料も含めたトータルコストで比較しましょう。
中古物件で初期投資を抑える
新築よりも物件価格が安い中古物件を選ぶことで、必要な自己資金を抑えられます。ただし、修繕費用が別途かかる可能性がある点は理解しておきましょう。
HOME4Uでも、アパート経営の初期費用と自己資金の目安について詳しく解説されています。
初心者がアパート経営で失敗しないためのポイント
費用面で失敗しないために、初心者が押さえておくべきポイントを紹介します。
余裕を持った資金計画を立てる
ギリギリの資金計画は危険です。想定外の修繕や空室に備えて、物件取得後にも手元に200〜300万円程度の余裕資金を残しておくことをおすすめします。
利回りだけで判断しない
表面利回りが高くても、ランニングコストや空室率を考慮した「実質利回り」で判断することが重要です。表面利回り10%でも、実質利回りは5〜6%程度になるケースは珍しくありません。
管理会社の選定を重視する
アパート経営の成否は管理会社の質に大きく左右されます。入居者募集力や対応の早さ、修繕対応の質などを確認し、信頼できる管理会社を選びましょう。
出口戦略も最初に考えておく
アパートをいつ・どのように手放すかという「出口戦略」も購入時点で考えておくことが大切です。売却しやすいエリアや築年数を意識した物件選びが、長期的な投資成功につながります。
リロの不動産でも、アパート経営のランニングコストの相場と節約のポイントが解説されています。
アパート経営の費用に関するよくある質問
自己資金ゼロでもアパート経営は始められますか?
フルローンを利用すれば理論上は可能ですが、毎月の返済負担が大きくなり、空室が出た場合にキャッシュフローがマイナスになるリスクが高まります。最低でも諸費用分の自己資金は用意することをおすすめします。
アパート経営の初期費用は経費にできますか?
不動産取得税、登録免許税、印紙税、司法書士報酬、ローン保証料などは経費として計上できます。ただし、建物の取得費用は減価償却として計上します。詳しくは税理士に確認してください。
建築費を安く抑えるコツはありますか?
複数のハウスメーカーや工務店から相見積もりを取ることが基本です。また、シンプルな設計にする、標準仕様の設備を採用するなどの工夫でコストダウンが可能です。ただし、入居者の満足度に直結する部分の品質は落とさないことが重要です。
まとめ
アパート経営を始めるにあたって、費用の全体像を正しく把握することが成功への第一歩です。
- 自己資金の目安は物件価格の15〜30%(諸費用含む)
- 初期費用は物件取得費のほかに、税金・手数料・保険料など多岐にわたる
- ランニングコストは家賃収入の15〜20%が目安
- 空室率を加味したシミュレーションを必ず事前に行う
- 物件取得後も手元に余裕資金を残しておくことが安全策
初期費用の大きさに驚く方も多いですが、融資を上手に活用することで自己資金を抑えた投資が可能です。ただし、無理な資金計画は経営破綻のリスクに直結するため、余裕を持った計画を心がけてください。


