不動産投資には家賃収入というメリットがある一方で、さまざまな税金がかかるのも事実です。しかし、税金の仕組みを正しく理解すれば、合法的に税負担を軽減することが可能です。
不動産投資の節税で特に重要なのが「減価償却」と「損益通算」という2つの仕組みです。この記事では、不動産投資にかかる税金の種類から、具体的な節税テクニックまで体系的に解説します。

不動産投資にかかる税金の種類
不動産投資では、物件の取得時・保有時・売却時のそれぞれの段階で異なる税金がかかります。
取得時にかかる税金
- 不動産取得税:物件取得時に一度だけ課税。土地・建物の固定資産税評価額の3〜4%
- 登録免許税:所有権移転登記や抵当権設定登記にかかる税金
- 印紙税:売買契約書やローン契約書に貼付する収入印紙代
保有時にかかる税金
- 所得税・住民税:家賃収入から経費を差し引いた不動産所得に対して課税
- 固定資産税:毎年1月1日時点の所有者に課税。評価額の1.4%が標準税率
- 都市計画税:市街化区域内の物件に課税。評価額の0.3%が上限
売却時にかかる税金
- 譲渡所得税:売却益に対して課税。所有期間5年超なら長期譲渡で税率約20%、5年以下なら短期譲渡で約39%
保有期間中に毎年かかる所得税・住民税を減価償却や損益通算で抑えることが、不動産投資における節税の中心的な戦略です。
取得時・保有時・売却時の税金の全体像は、不動産の税金を扱った本で一度整理しておくと理解しやすくなります。
減価償却の仕組みと計算方法
減価償却とは、建物の取得費用を耐用年数にわたって少しずつ経費として計上できる仕組みです。実際にお金が出ていかないのに経費として認められるため、不動産投資における最大の節税ツールといえます。
法定耐用年数
建物の構造によって耐用年数が異なります。
| 構造 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造 | 22年 |
| 軽量鉄骨造(3mm以下) | 19年 |
| 重量鉄骨造 | 34年 |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 47年 |
中古物件の耐用年数(簡便法)
中古物件は新築より短い耐用年数で償却できるため、1年あたりの減価償却費が大きくなります。
- 法定耐用年数を全部経過した場合:法定耐用年数 × 20%
- 法定耐用年数の一部が経過した場合:(法定耐用年数 – 経過年数)+ 経過年数 × 20%
例えば、築25年の木造物件の場合、法定耐用年数22年を全部経過しているため、22年 × 20% = 4年で償却できます。
耐用年数や償却費の計算は、減価償却を解説した本で具体例を確認しておくと自分の物件にも当てはめやすくなります。

損益通算で所得税を取り戻す仕組み
損益通算とは、不動産所得の赤字を給与所得などの黒字と相殺して、課税所得を減らす制度です。
例えば、年収700万円の会社員が不動産投資で100万円の赤字を出した場合、課税対象の所得は600万円に圧縮されます。所得税率が20%の方なら、約20万円の所得税が還付されることになります(住民税も含めるとさらに大きくなります)。
損益通算は合法的な節税手法ですが、意図的に赤字を作り続けることが目的と判断されると、税務署から否認されるリスクがあります。あくまで実態のある投資活動の結果として赤字が発生することが前提です。
節税効果が大きい人の特徴
不動産投資による節税効果は、すべての人に均等に働くわけではありません。以下の条件に当てはまる方ほど、大きな節税メリットを受けられます。
- 年収が高い人:所得税は累進課税のため、税率が高いほど節税効果が大きい。年収900万円以上(所得税率33%)の方は特に効果的
- 給与所得以外の所得が少ない人:不動産所得の赤字を給与所得と相殺しやすい
- 減価償却費を大きく取れる物件を持っている人:築古物件や木造物件など
逆に、年収が低く所得税率も低い方の場合、節税効果は限定的です。その場合は節税よりも、家賃収入によるキャッシュフローを重視した投資戦略を取るのが賢明です。
具体的な節税シミュレーション
年収800万円の会社員が、2,000万円の中古ワンルームマンション(築20年・RC造)を購入した場合の節税効果を見てみましょう。
- 物件価格:2,000万円(うち建物1,400万円、土地600万円)
- 年間家賃収入:96万円(月8万円)
- 年間経費(減価償却費以外):50万円
- 減価償却費:約51万円/年(1,400万円 ÷ 残存耐用年数27年)
不動産所得 = 96万円 – 50万円 – 51万円 = マイナス5万円
この赤字5万円を給与所得と損益通算すると、所得税率23%の方で約1.15万円、住民税10%で約5,000円、合計約1.65万円の税金が還付されます。
さらに初年度は不動産取得税や仲介手数料などの諸費用も経費に計上できるため、より大きな赤字となり、数十万円単位の還付を受けられる可能性もあります。
ご自身の条件で試算する場合は、家賃・経費・償却費を手元で計算してみると目安をつかみやすくなります。

不動産投資で使える主な節税テクニック
1. 青色申告で65万円控除を受ける
青色申告をすれば最大65万円の特別控除が受けられます。5棟10室以上の事業的規模でなくても、10万円の控除は適用されます。
2. 経費の漏れをなくす
交通費、通信費、書籍代、セミナー参加費など、見落としがちな経費も忘れずに計上しましょう。
3. 法人化のタイミングを見極める
個人の所得税率が法人税率を上回るタイミング(一般的に課税所得900万円超)で法人化を検討すると、さらなる節税が期待できます。
法人化のメリットと手間は、不動産の法人化を扱った本で比べておくと税理士に相談するときも話がスムーズです。
4. 小規模企業共済に加入する
事業的規模(5棟10室以上)の不動産賃貸業を営んでいれば、小規模企業共済に加入できます。掛金は全額所得控除の対象です。
節税で気をつけるべきリスク
節税は大きなメリットですが、節税ありきで投資判断をするのは危険です。以下の点に注意してください。
- デッドクロス:減価償却期間が終了すると経費が減り、帳簿上の利益が増えて税負担が急増する現象。ローン返済と減価償却のバランスを事前にシミュレーションしておくことが重要です
- 売却時の税金:減価償却で建物の簿価が下がるため、売却時に大きな譲渡所得が発生する可能性があります
- 過度な節税は税務調査のリスク:実態と乖離した経費計上は否認される可能性があります
不動産投資における節税は、あくまで「投資で利益を出しながら、合法的に税負担を最適化する」ことが目的です。節税のためだけに収益性の低い物件を購入することは本末転倒です。
税金の仕組みを正しく理解し、国税庁のWebサイトや税理士検索サイトなども活用しながら、賢く節税に取り組んでいきましょう。
よくある質問
Q. 不動産投資の節税はいつまで続きますか?
減価償却による節税効果は、耐用年数が終了するまで続きます。それ以降は減価償却費を計上できなくなるため、帳簿上の利益が増えて税負担も増加します。長期的な視点で出口戦略も含めた計画を立てることが大切です。
Q. 土地だけの投資でも節税できますか?
土地は減価償却の対象にならないため、減価償却による節税は期待できません。また、土地取得のための借入金利息は損益通算の対象外となる場合があるため注意が必要です。


