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不動産投資の告知事項とは?確認すべき内容とガイドラインの考え方

不動産投資の実践

物件資料の片隅に「告知事項あり」と小さく書かれている――不動産投資をしていると、こうした物件に出会うことがあります。相場より明らかに安く、利回りだけ見れば魅力的に映るのですが、中身を確認せずに買うのは避けるべきです。

告知事項という言葉が指す範囲は、実はかなり広く取られています。人の死に関することだけでなく、雨漏りの履歴、近隣とのトラブル、法令上の制限など、契約の判断に影響する事実が含まれます。

この記事では、不動産投資で告知事項をどう確認し、どう判断すればよいかを、国土交通省のガイドラインを踏まえて整理します。

ナビ助
ナビ助
「告知事項あり」って書いてあると身構えちゃうけど、中身によっては投資対象として十分ありなんだ。大事なのは、何が起きたかを正確に聞くことだよ。

告知事項とは何を指すのか

契約の判断に影響する事実

告知事項とは、買主や借主が契約を結ぶかどうかを判断するうえで重要な影響を及ぼす事実のことです。宅地建物取引業法では、宅建業者に対して、こうした事実を故意に告げないこと・事実と異なることを告げることを禁じています。

対象となるのは次のような内容です。

  • 物件内や敷地で人が亡くなった事実(心理的瑕疵)
  • 雨漏り・シロアリ被害・給排水管の故障といった物理的な不具合
  • 耐震性や構造上の問題
  • 近隣の騒音・臭気・振動などの環境的な要因
  • 暴力団事務所の存在など周辺環境に関わる事情
  • 再建築不可、接道義務を満たさないといった法令上の制限

このうち、投資家がとくに気にするのが人の死に関する事項ですが、実務上のリスクという意味では、雨漏りや再建築不可といった物理・法令面のほうが金額インパクトは大きいことも多くあります。

心理的瑕疵と物理的瑕疵

「事故物件」という言葉で語られるのは心理的瑕疵の部分です。建物そのものに欠陥がなくても、そこで起きた出来事を知れば借りたくない・買いたくないと感じる――そうした主観に関わる要素を指します。

一方の物理的瑕疵は、建物の機能や安全性に直接関わる不具合です。こちらは修繕費という形で金額に換算できるため、判断はしやすくなります。

ポイント

「告知事項あり」の表記だけでは中身が分からない。何が、いつ、どこで起きたのかを必ず書面で確認する。

物件の見極め方は、不動産投資の入門書で一度押さえておくと、資料のどこを確認すべきかが判断しやすくなります。

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人の死に関する告知のガイドライン

国が示した判断の目安

国土交通省は令和3年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。それまで明確な基準がなく、宅建業者ごとに判断がばらついていた領域に、初めて共通の目安が示されたものです。

ガイドラインの内容は国土交通省の報道発表資料から確認できます。投資家としても一度目を通しておく価値があります。

原則として告げなくてよいとされるもの

取引の対象となる不動産で発生した自然死、および日常生活のなかでの不慮の死(転倒事故や誤嚥など)については、原則として告げなくてもよいとされています。老衰や持病による死亡は統計的にも生活のなかで通常起こりうるものとされ、これを一律に告知対象とすると、住宅の流通に支障が出るという考え方です。

ただし例外があります。自然死や日常生活での不慮の死であっても、発見が遅れて特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、告知の対象になるとされています。

賃貸は概ね3年、売買は期間の定めなし

告知が必要とされるケースでも、賃貸借契約については、事案の発生(または特殊清掃等が行われた場合はその発覚)から概ね3年間を経過すれば、原則として告げなくてもよいという目安が示されています。

一方、売買契約についてはこうした期間の区切りが設けられていません。投資用物件を将来売却する立場で考えると、この違いは重要です。賃貸の募集では3年で告知不要になる事案でも、自分が売る側になったときには告知が必要になる可能性があります。

告知する内容の範囲

告知する際に伝えるべきとされるのは、発生の時期、場所、死因、特殊清掃の有無です。亡くなった方の氏名や家族構成、詳細な状況まで伝える必要はないとされています。故人と遺族の名誉やプライバシーへの配慮が前提になっているためです。

ナビ助
ナビ助
賃貸は3年、売買は期限なし。ここを混同してる人が多いんだ。買うときは「賃貸では告知不要でも、売るときは説明が要るかも」って考えておこう。

投資家としての確認手順

1. まず書面で質問する

口頭のやり取りは後から食い違いが生じます。「この物件に告知事項はありますか。ある場合は内容を教えてください」という質問を、メールなど記録の残る形で出しておきましょう。回答も書面でもらいます。

2. 重要事項説明書を精読する

契約前に行われる重要事項説明では、告知すべき事項が記載されます。当日に初めて読むのではなく、事前に写しをもらって落ち着いて読む時間を確保してください。分からない用語はその場で質問し、納得できるまで契約を進めない姿勢が必要です。

3. 周辺で情報を集める

近隣の別の不動産会社に一般的なエリア情報として尋ねる、現地で周辺の様子を確認するといった方法で、資料に出てこない情報が拾えることがあります。とくに騒音や臭気といった環境的な要因は、現地に立たないと分かりません。

4. 記録を残しておく

やり取りしたメール、受け取った書面、現地で撮った写真は、物件ごとにまとめて保管しておきます。A4サイズのファイルボックスとインデックス付きの個別フォルダーで物件別に分けておくと、後で売却する際に自分が告知すべき内容を整理する土台になります。

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複数物件を検討していると、どの物件でどんな回答をもらったか分からなくなりがちです。この整理を後回しにすると、契約直前に慌てて探すことになります。

告知事項ありの物件は投資対象になるか

価格と収益のバランスで見る

告知事項がある物件は、相場より価格が抑えられていることが一般的です。賃料も周辺相場より低めに設定することになりますが、購入価格の下げ幅のほうが賃料の下げ幅より大きければ、利回りとしては成立します。

ただし、これは価格が十分に下がっていればという条件つきです。「告知事項あり」という理由だけで安く見えても、実際の下げ幅が小さければ、リスクに見合いません。

出口が取りにくくなる点は織り込む

売買では告知の期間制限がないため、将来の売却では買い手の層が限られます。融資が付きにくくなることもあり、現金で買える価格帯かどうかは、購入前に検討しておくべき論点です。

物理的な問題は見積もりを取る

雨漏り、シロアリ、給排水管の劣化といった物理的な告知事項は、修繕の見積もりを取れば金額が確定します。購入価格の値引き交渉の材料にもなるため、契約前に施工業者に見てもらう段取りを組んでおきましょう。

注意

ガイドラインはあくまで宅建業者の対応の目安を示したものであり、個別の裁判で告知義務の有無がどう判断されるかを確定するものではありません。判断に迷う事案は、弁護士など専門家への相談が必要です。

自分が売主・貸主になったときの対応

投資家は買う側であると同時に、いずれ売る側・貸す側にもなります。自分の物件で告知すべき事案が起きた場合、隠して契約を進めるのは後の損害賠償や契約解除につながる、最もリスクの高い選択です。

ガイドラインでは、宅建業者が売主・貸主に対して、過去に生じた事案を告知書に記載してもらうよう求めることが、通常の調査義務を果たしたことになるとしています。つまり、オーナー側が正確に伝えることが前提の仕組みになっているということです。

賃貸経営の実務や物件の見極め方を体系的に押さえたい場合は、石原博光さんの『まずはアパート一棟、買いなさい!』のような実践書が参考になります。投資の考え方そのものを整理する一冊としては、ロバート・キヨサキさんの『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん』も長く読まれています。制度面の相談先としては国民生活センターの相談事例も参考になります。

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ナビ助
ナビ助
隠して売るのは絶対にダメだよ。バレたときの損害のほうが、値下げ分よりずっと大きくなるからね。

よくある質問

Q. 「告知事項あり」とだけ書かれていて内容が分かりません。どうすればよいですか?

仲介会社に内容の開示を求めてください。宅建業者には重要な事実を告げる義務があるため、質問すれば回答が得られます。回答が曖昧な場合や、契約を急かされる場合は、その物件から離れる判断も必要です。

Q. 隣の部屋で事案があった場合も告知対象になりますか?

ガイドラインでは、取引の対象となる不動産と、日常的に使用する集合住宅の共用部分が主な対象とされています。隣室や、日常生活で通常使用しない共用部分については、原則として告げなくてよいという整理です。ただし、社会的に大きく報道された事案など、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は例外とされています。

Q. 告知事項がある物件は融資を受けられませんか?

受けられないと決まっているわけではありませんが、金融機関によって対応が分かれます。担保評価が下がる、審査が慎重になるといったことは想定しておくべきです。購入を検討する段階で、金融機関に物件情報を伝えて感触を確認しておきましょう。

Q. 3年経てば入居者に伝えなくてよいということですか?

賃貸借契約については、概ね3年という目安が示されています。ただしこれは一律のルールではなく、事案の内容や社会的な影響の大きさによっては、期間を超えて告知が必要とされる場合があります。判断に迷う場合は管理会社や専門家に確認してください。

Q. 購入後に告知されていなかった事実が判明したらどうなりますか?

契約不適合として、修補請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除の対象になりうる場面があります。ただし、事実関係の立証や請求可能な期間の制約があるため、判明した時点で速やかに弁護士に相談することが重要です。

まとめ

告知事項は、人の死に関することだけでなく、物理的な不具合や法令上の制限、周辺環境まで含む広い概念です。「告知事項あり」の一言では中身が分からないため、必ず書面で内容を確認しましょう。

人の死に関しては、自然死や日常生活での不慮の死は原則として告知不要、ただし特殊清掃等が行われた場合は対象になる。賃貸は概ね3年という目安があり、売買には期間の区切りがない。この整理を押さえておくと、資料の見方が変わります。

告知事項がある物件は、価格が下がる分だけ利回りが出やすい一方、出口で買い手が限られます。リスクを正確に把握し、その分の値引きが取れているかを冷静に判断することが、この種の物件と向き合う基本の姿勢です。

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