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不動産投資の収支計算をエクセルで作る方法|項目設計と計算式のまとめ

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Web上の無料シミュレーターは手軽ですが、使い込むほど不便に感じる場面が出てきます。空室率を年ごとに変えたい、5年目に給湯器を交換する前提を入れたい、複数物件をまとめて見たい――こうした「自分の物件に合わせた前提」は、既製のツールでは扱いきれません。

そこで役に立つのが、自分でエクセルの収支計算表を組む方法です。一度作ってしまえば、以後は数字を入れ替えるだけで何十件でも試算できるようになります。この記事では、シートの構成、入力すべき項目、そして実際に使う計算式を具体的にまとめます。

ナビ助
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自分で組むのはちょっと面倒だけど、一度作れば一生使えるよ。しかも作る過程で「収支ってこういう構造なんだ」ってのが体で分かるのが一番の収穫かも。

シートは4枚に分けて設計する

1枚のシートに全部詰め込むと、修正するたびに崩れます。役割ごとに分けるのが結局は近道です。

1枚目:入力シート(前提条件)

変更する可能性のある数字は、すべてこのシートに集約します。物件価格、家賃、金利、空室率などをここに置き、他のシートからは参照するだけにします。計算式の中に数字を直接書き込まないことが、使い回せる表を作る最大のコツです。

2枚目:ローン返済表

返済期間の月数分、または年数分の行を作り、各期の返済額・利息・元金・残債を並べます。繰り上げ返済や売却時の残債計算に使うため、独立させておくと便利です。

3枚目:年次収支表

保有期間の各年について、家賃収入、空室損、運営費、返済額、キャッシュフローを並べます。ここが表の本体です。

4枚目:指標サマリー

表面利回り、実質利回り、返済比率、損益分岐入居率、累計キャッシュフロー、内部収益率などを一覧表示します。物件を比較するときは、このシートだけを見れば足りる状態にします。

ポイント

入力セルは背景色を変えておくと、後から見たときに「どこを触ればいいか」が一目で分かります。数式が入っているセルにはシート保護をかけておくと、誤って上書きする事故を防げます。

表の組み立て方は、不動産投資の収支計算をエクセルで解説した本を手元に置いておくと、項目の抜け漏れに気づきやすくなります。

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入力シートに置く項目

物件・購入条件

物件価格、土地建物の内訳、購入諸費用(仲介手数料・登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬・火災保険料・印紙税)、自己資金、借入額。総投資額は「物件価格+購入諸費用」で計算し、利回りの分母にはこちらを使います。

ローン条件

借入額、年利、返済期間、返済方式(元利均等か元金均等か)。変動金利の場合に備えて、金利上昇シナリオ用のセルも用意しておくと使い勝手が上がります。

収入条件

戸数、1戸あたりの月額家賃、共益費、駐車場やその他収入、空室率、家賃下落率(年あたり何%下げるか)。

支出条件

管理委託料の料率、共用部光熱費、清掃費、固定資産税・都市計画税、火災・地震保険料、原状回復費の想定、入居募集時の広告料、修繕積立の想定額。区分マンションの場合は管理費と修繕積立金も必須です。

出口条件

売却想定年、売却時の想定利回りまたは想定価格、売却時の仲介手数料。

ナビ助
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項目が多く見えるけど、一度作れば次からは埋めるだけ。むしろ「この項目、考えてなかった」って気づけるのが大事なんだよ。
ナビ助
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ここから関数の話。難しそうに見えるけど、使うのは5個くらいだから大丈夫だよ。

実際に使う計算式

毎月の返済額(元利均等返済)

PMT関数を使います。年利をB1、返済年数をB2、借入額をB3に置いた場合、次のように書きます。

=-PMT(B1/12, B2*12, B3)

PMT関数は支出をマイナスで返すため、頭にマイナスを付けて正の数にしています。円未満を丸めたい場合は=ROUNDUP(-PMT(B1/12,B2*12,B3),0)のようにROUNDUPやROUNDで包みます。

各回の利息と元金

返済表の各行で、利息はIPMT関数、元金はPPMT関数を使います。返済回数をA列に置いた場合は次のとおりです。

利息:=-IPMT($B$1/12, A5, $B$2*12, $B$3)
元金:=-PPMT($B$1/12, A5, $B$2*12, $B$3)

入力シートのセルは絶対参照($付き)にしておくと、下方向へコピーしても参照がずれません。

ローン残債

任意の時点での残債はFV関数で求められます。経過回数をA5に置いた場合は次のようになります。

=-FV($B$1/12, A5, -PMT($B$1/12,$B$2*12,$B$3)*-1, $B$3)

複雑に見える場合は、返済表で「前期残債 − 当期元金」を順に引いていく形でも同じ結果になります。売却時の手残りを計算するには残債が不可欠なので、必ず作っておきましょう。

実効総収入と純収益(NOI)

満室想定の年間家賃から空室損を引き、その他収入を足したものが実効総収入です。そこから運営費を引くと純収益(NOI)になります。

実効総収入 = 満室想定年間家賃 * (1 - 空室率) + その他収入
NOI = 実効総収入 - 運営費合計

各種の利回りと安全性の指標

表面利回り = 満室想定年間家賃 / 物件価格
実質利回り(NOI利回り) = NOI / 総投資額
税引前キャッシュフロー = NOI - 年間返済額
返済比率 = 年間返済額 / 満室想定年間家賃
返済余裕率(DCR) = NOI / 年間返済額
自己資金回収率(CCR) = 税引前キャッシュフロー / 自己資金

内部収益率(IRR)

初年度に自己資金をマイナスで置き、各年のキャッシュフローを並べ、最終年に売却時の手残りを足した列を作れば、IRR関数で一発です。

=IRR(C10:C20)

年の途中で売却するなど日付が不揃いな場合は、XIRR関数を使うと日付ベースで計算できます。

減価償却費

建物部分の取得価額を耐用年数で割って計上します。住宅用の建物の法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造が47年、木造が22年と定められています(国税庁 減価償却資産の耐用年数)。鉄骨造は骨格材の肉厚によって年数が分かれるため、個別に確認が必要です。

中古物件を取得した場合は、簡便法によって耐用年数を見積もる方法があります。法定耐用年数をすべて経過している場合は「法定耐用年数 × 20%」、一部を経過している場合は「(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%」で求め、いずれも1年未満を切り捨て、2年に満たないときは2年とします。

詳しい要件と最新の取扱いは国税庁のサイトで確認し、実際の申告にあたっては税理士へ相談してください。

注意

エクセルで税引後キャッシュフローまで作り込むと、所得区分・他の所得との損益通算・青色申告の扱いなど、個別事情に依存する要素が一気に増えます。まずは税引前までを正確に作り、税金の部分は税理士に確認するという分担が現実的です。

税金の考え方は、不動産の確定申告を扱った本で全体像を押さえておくと、税理士に相談するときの質問も整理しやすくなります。

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作り込む前に押さえておきたい設計の勘どころ

家賃下落を年次で反映する

家賃を全期間同額で置くと、長期の収支が実態から離れます。入力シートに年あたりの下落率を置き、年次収支表で=前年家賃*(1-下落率)と参照すれば、一箇所の変更で全体に反映されます。

大規模修繕を「イベント」として置く

屋上防水、外壁塗装、給湯器やエアコンの交換は、毎年少しずつではなく特定の年にまとまって発生します。年次収支表に「その年だけの臨時支出」を入れる列を作っておくと、修繕が重なる年に資金がショートしないかを確認できます。

シナリオ切り替えを1セルで行う

標準・悲観・楽観の前提を横に並べておき、CHOOSE関数やINDEX関数で切り替えられるようにすると、比較が一瞬で終わります。ここまで作れれば、既製のツールより自由度が高い表になります。

入力ミスを防ぐ仕掛けを入れておく

桁を一つ間違えたまま気づかず判断してしまうのが、自作の表で最も怖い事故です。入力規則で金利は0〜0.2、空室率は0〜0.5といった範囲を設定しておくと、あり得ない値が入った時点で弾けます。あわせて、条件付き書式で税引前キャッシュフローがマイナスの年を赤く塗るようにしておくと、赤字転落の年が視覚的に分かります。

複数物件を並べて比較できるようにする

物件を検討し始めると、同時期に3件も4件も候補が並びます。物件ごとにファイルを分けると比較が面倒になるため、指標サマリーだけを1枚の一覧表に集約する形にしておくと便利です。物件名、総投資額、実質利回り、年間キャッシュフロー、返済比率、損益分岐入居率を横に並べれば、どれを優先して現地確認すべきかが一目で判断できます。一覧に載せる返済比率の目安や計算方法は、以下の記事で整理しています。

不動産投資の返済比率の目安はどれくらい?計算方法と安全ラインの考え方
物件の資料を見て「利回りが高いから大丈夫だろう」と判断した結果、いざ運用を始めたら手元にほとんど現金が残らなかった――不動産投資でよく起きる失敗のひとつです。原因の多くは、利回りではなく返済比率という指標を見ていなかったことにあります。返済...

見送った物件のシートも消さずに残しておきましょう。「なぜこの価格では買わなかったのか」の記録が蓄積されると、自分の投資基準が数字として固まっていきます。半年後に似た物件が出たとき、判断がぶれずに済みます。

作業環境を整えると続けやすい

エクセル作業は、環境の差がそのまま作業時間の差になります。物件を何十件も試算するなら、次のような道具を用意しておくと負担が減ります。

  • USB接続のテンキー:ノートパソコンで数字を大量入力するなら、あるとないとで速度がまったく違います
  • 24インチ以上のフルHDモニター:物件資料とエクセルを並べて表示でき、転記ミスが減ります
  • 12桁表示の実務電卓:エクセルの計算結果を検算する用途に使います
  • A4対応のドキュメントスキャナー:販売図面をPDF化して物件フォルダに残しておくと、後から数字を確認し直せます
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関数の使い方に不安がある方は、エクセルの関数を扱った入門書を1冊手元に置いておくと、PMT・IPMT・IRRあたりでつまずいたときにすぐ解決できます。不動産投資の指標そのものを深く理解したい場合は、『基礎から学ぶ 不動産投資・証券化ビジネス』(田邉信之)のような体系的な解説書が参考になります。

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テンキー、ほんとに侮れないよ。何十件も入力してると、これがあるかないかで作業をやめちゃうかどうかが決まったりする。
ナビ助
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見送った物件のシートは消さないでね。あれが自分の投資基準そのものになっていくから。

エクセルでの収支計算に関するよくある質問

Q. 配布されているテンプレートを使うのではダメですか

入口としては十分に有効です。ただし、他人が作った表は前提の置き方が見えづらく、どのセルが何を意味しているのか分からないまま使うことになりがちです。まずは配布テンプレートで構造を学び、自分の物件に合わせて作り替えていくという進め方が現実的です。既製のツールで見るべき指標や前提の置き方は、以下の記事で確認できます。

不動産投資の無料シミュレーションツールの使い方|見るべき指標と前提条件の置き方
物件資料を眺めていて「この価格で買ったら、実際いくら手元に残るのか」が分からない――不動産投資を検討し始めた方が最初にぶつかる壁です。資料に書かれている表面利回りだけを見ても、答えは出ません。幸い、いまはWeb上で無料で使えるシミュレーショ...

Q. スプレッドシートでも作れますか

PMT・IPMT・PPMT・IRR・XIRRといった主要な関数は、Googleスプレッドシートでも同じ名前で使えます。複数端末から確認したい方や、共同で見たい方はスプレッドシートのほうが便利です。

Q. 元利均等と元金均等はどちらで組むべきですか

金融機関から提示された条件に合わせるのが原則です。元利均等は毎月の返済額が一定で資金繰りが読みやすく、元金均等は返済が進むほど負担が軽くなり総支払利息を抑えやすいという特徴があります。両方の列を作って比較できるようにしておくと、条件交渉の際に役立ちます。

Q. 空室率は何%で置けばよいですか

一律の正解はありません。エリアの需給、物件の間取り、築年数、競合の状況によって大きく変わります。実務では、楽待などの収益物件ポータルで周辺の募集状況を実際に検索して確認したうえで、複数の水準で計算し、どこから赤字になるかを把握しておく方法がとられます。

Q. 売却価格の想定はどう入れればよいですか

将来の価格を当てることはできないため、複数の想定を置いて幅で見るのが実務的です。購入時と同じ利回りで売れると仮定する方法や、毎年一定率で価格が下がると仮定する方法が使われます。長期の価格動向を確認したい場合は、国土交通省の不動産価格指数が参考になります。

Q. 表が複雑になりすぎて使わなくなりそうです

よくある失敗です。最初から完璧を目指さず、入力シート・年次収支表・指標サマリーの3枚だけでスタートし、必要になった項目を足していく形にしましょう。使い続けられる粗さのほうが、精緻だが放置される表よりはるかに価値があります。

まとめ

エクセルで収支計算表を組む際は、入力シート・ローン返済表・年次収支表・指標サマリーの4枚構成にし、数字はすべて入力シートに集約するのが基本設計です。計算式はPMT・IPMT・PPMT・FVで返済まわりを、IRRまたはXIRRで投資全体の効率を押さえれば、実務で必要な範囲はほぼカバーできます。

作るうえでの勘どころは、家賃下落を年次で反映すること、大規模修繕を臨時支出として置くこと、そしてシナリオを切り替えられるようにすることの3点です。自分で組んだ表は、市販のツールより自分の投資方針に忠実に答えを返してくれます。まずは3枚構成の簡易版から、今日作り始めてみてください。

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